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| 「一日も早く冤罪の晴れる日を」 - 元同僚 - |
その日は雪がたくさん残る寒い日だった。夜、スキー場からの帰り道で北陵クリニックの前を通り過ぎると多くの人々でざわついていた。何があったのかなと漠然と帰宅したがまもなく長女から電話が入った。「守大助って知ってる？」「知ってるよ、何でっ」「びっくりしないでね。その人殺人罪で今日逮捕されたんだって」「えっ嘘？、誰を？」「クリニックの患者らしいよ」「えっ、まさか」「だって本人が自白したんだってよ」
その日、私はこんなふうに守さんが逮捕されたことを知った。「まさか・・」「ほんとなのかな・・」「いや、何かのまちがいだ」どう考えても守さんに不審な行動はなかった。
数ヵ月後、警察に呼ばれた。デスクが２つ向かい合わせにあって、黒いカーテンの付いた窓がある狭い取調室に通された。刑事から初めに言われたことは、「○○さん、守の人間性についてと女性関係について言ってください。よかったことは何も思い出さなくていいです。悪いことだけを思い出してくださいよ。守はとても悪いやつです。○○さんも守に誘惑された一人じゃないですか？」
この瞬間私は腹が立ったと同時に守さんの「無実」を確信した。「本当に守さんが犯人なのですか、私は違うと思います。医療ミスという可能性もあります。もう一度調べてください」・・「守しか有り得ない。自白したんだよ」取調べは6時間くらい、その繰り返しだった。
調書は刑事が作成した。少しでも守さんのことをよく言うものならすべて否定された。また、クリニックの不利になることは一切書かないし、聞こうともしなかった。そして全く違ったニュアンスで調書は作成されていた。「もしも××なら、○○さんならどうしますか？」と聞くので、「私なら××すると思います」と答えると調書は「守は××した」と書かれてしまうのです。「私はそういう意味を言ったのではない。正しく書き直してください。」「それは出来ません、これが調書になりますから、書名と拇印を押してください」と、強引に署名捺印させるのです。
その後、何度か呼ばれ、調書も書かれたが書名も捺印もしていない。このような誘導質問で作成された病院関係者の調書はどれだけあるのでしょう。そんな調書があっていいものだろうか。こんな一方的で理不尽なことがまかり通って、一人の青年の人生を狂わせてしまっている現実に、みなさんどうか目を向けてほしい。
守さんは、看護師の中で一番仕事熱心で信頼があった。他の看護師に質問すると「私は分からないから守さんに聞いて」と言われたくらい仕事が出来た人だった。本人が自白したからとマスコミが大きく犯人説を流してしまったが、自白したのではなく、させられたのだと強く思っている。
クリニックでは、医療知識が少しある人なら誰でも気付くミスが日常茶飯事だった。投薬ミスも私自身数度経験している。抗生物質点滴の副作用で胸が苦しく痛くなり自分で点滴の速度を下げたこともあるが、それができない老人や乳幼児ならどうなるでしょう。いつ急変してもおかしくない患者を受け入れていたことなど、クリニック側の体制は問われても守さんが問われる不審なことは何もなかった。にもかかわらず一審は有罪とされてしまった。報道されない事実、不平等な警察のあり方を強く私は世論に訴えたい。真実が明らかになり冤罪が1日も早く晴れることを願っている。
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