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| 無実を訴え、えん罪を晴らすこと |
その青年は、実に爽やかに座って居た。
はきはきした受け答え・笑顔、すべてに好印象を与え、人を魅了せずにはおかない人柄！
「あれじゃ、患者さん達に人気があったのも解るわねえ〜」と、後で誰かが呟いた。
唯一つ、違和感があるのは、ガラスの向こう側に居るという事。
私が憤りを感じるのは、少年の頃の入院経験から看護士を志し「誰かの為に人の役に立ちたい」という希望を胸に、夢に向かってまっすぐに歩んでいた大助さんが、なぜこのようなえん罪で捕らわれの身にならなければならないのか！
そして彼をおとしめた人達が、今も医療関係者として安穏と日々を過ごしている事！それがどうしても許せない。
そして、本当に気の毒なご両親のことを思うと胸が張り裂けそうになる。
いつも冗談を言って楽し気な明るいお父さん、しっかり子供を育て、家を守ってきたお母さん、この家族の見本みたいな幸福な家庭を襲った突然の悲劇。
私に出来ることは一体何なのだろう。
唯一つ、彼の無実を訴えていく事。
唯一つ、えん罪を晴らすこと。
自分の残りの人生を、大助君をこちら側に取り戻す為に、彼の無実を訴え、えん罪を晴らす事に費やして行こうと決心しながら、拘置所の門をゆっくり後にした。
2007年8月28日 上野 |
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