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| 〜ご両親と元北陵クリニック同僚に聞く〜 |
※本文章は2007年12月1日、「守大助さんを支援する東京大集会」におけるご両親と元同僚の方のお話を事務局が聞き取り、要旨を掲載したものです。文章の責任は全て事務局にあります。（一部本人又は事務局の意向で言葉を補足してあります。）
●布施さん（元北陵クリニック同僚・准看護師）のお話
渡会（事務局）
布施さんはこないだ伺ったのですがご出身が関東ですよね、東北の地まで何かきっかけがあって？
布施さん
妻が宮城出身だったということですね。
渡会
当時はおいくつでしたか？
布施さん
36くらいだったと思います。今の守さんと同い年くらい。
渡会
先に働いてるところへ後から守さんが就職？
布施さん
いや一緒です。99年2月。
渡会
それから1年何ヶ月かご一緒だったのですね？
布施さん
そうです。
渡会
退職されたのは？
布施さん
2000年の6月付だったと思います。
渡会
そうすると守さんのことがまだ事件、問題になってる前ですが、当時急変患者というのは結構出てたのでしょうか？市立病院への転送とか？
布施さん
病院の中ではあまり変わってないと思います。だからそれがなんとかっていう感じはないですよ。
渡会
お辞めになった理由は？
布施さん
患者さんからの希望でＦＥＳの副作用について説明したところ患者さんが考えが変わってＦＥＳを受けないということが2度ほどあった。それで私の夜勤のときに患者さんの考えが変わるからというふうに言われ、辞めさせられた。
渡会
当時のマスキュラックスや何かの管理の状況はどうでしたか？
布施さん
正直言ってこの事件の後に管理が厳しくなった。麻薬にあたるものだけ必ず金庫に入ってなきゃいけないという形になってて、麻薬以外のものはどこの病院も管理は同じでとりたててそこが悪かったかいうのはなかったです。
渡会
夜10時過ぎくらいに守さんが赤い針箱を屋外に捨てようとしたということを警察は証拠隠滅のように言っているが、そのような時間帯に行くことは異常なこと、あまりないことなのでしょうか？
布施さん
職場として病院は24時間オープンなんですよ。突然、今もそうだが、勤務に行かなきゃいけないこともあるわけで全然普通なことで例えば急に思い出しちゃったら通り道だから寄ってお願いしたり電話でお願いしたりしてたので。後は仲のいい子だと愚痴や相談の電話が夜中に来ることもあるし。空いてるベッドに仮眠させてもらうこともあったし、夜中に行くのがなんとかということはないし。夜勤は人が少ないので退職する人はたいてい夜中に荷物を持っていく。昼間に行くとどうしたの辞めちゃうの？からはじまって対応が面倒じゃないですか。ほとんどは従業員のところは鍵が閉まらないので。常識から考えるとそう思われちゃうと思うんですけど。試しにどこの病院でもいいから堂々と「こんばんは」と言えばたぶん全部素通りできます。最近この事件以降はセキュリティが厳しくなったがそんなに設備投資してるとこは少ないので。ましてここはクリニックなので。
渡会
事情聴取を受けたことは？
布施さん
逮捕になってから受けました。
渡会
どういったことを質問されましたか？
布施さん
大助君がどういう人ですか、怪しいところなかったですか、とか。
渡会さん
何月ですか？
布施さん
1月11日だったかな。
渡会
裁判傍聴にも何回か行かれたとのことですがどんな印象でしたか？
布施さん
マスコミの方から何回か取材を受けたが、仲の良いマスコミの方でこれはやってないよね、と思ってた人は転勤させられちゃってましたね。
●守勝男さん（守大助さんの父親）のお話
渡会（事務局）
お父さんは守さん逮捕時、現職の警察官だったということですが、逮捕後、辞めろとかいうプレッシャーはあったんでしょうか。
勝男さん
私は昭和39年東京オリンピックの年に宮城県警察を拝命し28歳で巡査部長、51歳で警部補になり、去年3月に定年退職し、山口さんが言うように空前絶後の犯人視報道、阿部先生が仰るようにずさんな宮城県警察、その中で定年まで勤めました。
なぜ私が辞めないで警察に勤めていたかというと、刑訴法189条ですかね、これには司法警察員は犯人と証拠を捜査しなければならないということになってる。最初息子が逮捕されたとき、犯人は息子だと言われたが、では証拠は？ということですよね。逮捕するには警察で証拠を捜査してるはずだ。阿部先生に言わせれば全く杜撰な捜査ということになる。後で思えばそうだったんだけど、当時は我が宮城県警は全国でも優秀な最高の県警だと検事からも言われたし私も自負してたからまさかそんな杜撰なことをやってるとは。
そこで私がどうしたかというと今だから言えることだが1ヶ月間病休をとり、捜査して歩いた。布施さんや弁護士さんに話を聞き、看護婦さんの同僚、医者、警察の仲間を1ヶ月間自分なりに捜査した。2回「守君、病休中なんだから捜査できないんじゃないか、病院に入ってろ」と妨害を受けた。
その間、警察での事情聴取を受けたが、新聞を見れば分かるだろう、証拠は裁判で出すからと言うだけで全く説明されず、言われることは阿部弁護士の解任だけだった。私に対する事情聴取は「阿部先生を解任しなさい」だった。なぜ解任しないといけないのか聞いたらお前の給料は警察から出てるからだと言われた。解任しなければお前勤められないよ、と言われたが解任しなかった。我々警察官は証拠を捜査するんだから証拠が100％あれば阿部先生が10人来ようが100人来ようが恐れる必要ないじゃないか。私に対してそれ以来妨害は一切なかった。
ただ私から（息子が本当に犯人なら辞職する覚悟でいたので捜査の状況を聞くため捜査の責任者である）刑事部長、捜査一課長に会わせてくれと言っても全然会わせてもらえなかった。そういうことで継続して去年の3月31日に退職した次第です。
●守祐子さん（守大助さんの母親）のお話
渡会（事務局）
お母さんは今までビラ配りや講演等かなりされてきましたが、地元の反応は如何ですか？
祐子さん
自宅の方は（逮捕直後）1か月家を留守にしたが帰ったとき塀なんかにいろんなこと書いてあるとかガラス壊れてるかなとか心配しながら帰ったが、そういうこといっさいなく、ご近所の声は早く帰って来るの待ってたよ、という声が多かった。留守電には同級生とか知り合いの方から励ましの電話がいっぱい入ってた。
渡会
街頭はどうですか？
祐子さん
当時は報道がすごかったのでいくら訴えても、「やったよ」とか言ってわざわざ傍まで来て肩を突かれたとかいうこともあったが、だんだん私が母親なんですということでマイクを持ったら、傍に来て息子が入院したとき（守大助さんに）世話になったんだよとか、うちのおばあちゃんが息子さんに世話になったんだよ、という声が聞かれるようになった。未だに1人くらいは「やったよ」と言ってく人もいるが、署名なんかに快く協力してくれたり、「息子さんが逮捕されたとき泉警察署に勤めていた兄から息子さんがやっていないということは聞いておりました」と言う人や、刑務官の奥さんや元警察官の方から頑張れよと声をかけてくれるなど、だいぶ変わってきた。ただ（裁判が）長いので最近は終わったんでしょ？という声が多い。それで、まだ終わってなくて今最高裁にいってるんです、と言うと、いったい一・二審は何をやってたんだろね、という声も聞かれます。
●最後に
渡会
捜査の具体的な問題について特に印象に残ってるものはありますか？
勝男さん
私は交通関係の事故捜査を30年やってきました。私が辞めなかった理由は杜撰な捜査にある。杜撰な点はたくさんあるが、時間がないので一点だけ挙げるとすれば、警察や検察が唯一の重要な証拠がマスキュラックスの空アンプルと言っている以上、実況見分でマスキュラックスのアンプルを写真に撮る場合に、ロット番号を捜査報告書には羅列しながら、写真にはロット番号が1本も写ってないというのは警察では絶対にやらない。警察では実況見分調書を見なくても、写真を見て一目でわかるようにしなければならない。我々交通捜査の鑑識ではいわゆる写真で文字を書くんだと言われる。証拠開示になった実況見分の写真にはロット番号が1本も写っていない。身分証明書を作るのに人の顔を後ろから撮って身分証明書に貼るようなもの。それでその人を証明しろと言っても誰も信じない。
渡会
布施さん、最後に一言守大助さんにあれば。
布施さん
自分は単身赴任で6畳間でも狭く感じるが、その半分のスペースで7年もよく頑張っている。1日も早く出れるようにこちらもできる限り頑張るのでめげずに頑張ってください。
渡会
お母さんも一言。
祐子さん
息子にとって辛い冬がきてしまった。1日24時間のほっかいろ1個で過ごさなくてはならない。寒くて手紙も書けないこともあると聞いている。でも全国の皆さんにご支援いただいて私らも頑張ってきております。最高裁は書類だけの審理と言われてるので、皆さん1人1人の誠意のあるお声を上申書に書いていただければ裁判官の良心を動かすと思いますので、どうか皆さんのお力で無実の息子を助けていただきたいと思います。どうかよろしくお願い致します。
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